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「きつねの窓」

先日、ネットで知り合って3年ほどになる二十歳のコからメールが届きました。
何故か花の話題になり、私が「桔梗の花が好き」だとメールすると
「指を桔梗の花の色に染めて手窓を作ると 大切なものが見えるんだっけ・・・。」
という返事が来ました。本当は
「もう二度と会えない人や 懐かしい風景が見える・・・」
なんですけどね。
「桔梗」というキーワードにこのお話を思い出せる、その心が素敵だなって思いました^^


安房 直子の『きつねの窓』 、切なくて印象深いお話だった気がします。

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安房 直子 『きつねの窓』

若い猟師が親を殺された子狐と出会った。子狐は染物屋の少年に化けているが、猟師はその正体に既に気付いている。

子狐は猟師の指を桔梗の色で染めてあげる。染めた指を菱形にしてつくった窓には、懐かしい人が現れるのだという。子狐も、いつもこうして死んだ母親に会っているのだと。

半信半疑のまま、猟師が桔梗の色に染められた指で窓をつくると、その中には昔好きだった少女の顔がよみがえった。

猟師は、代金の代わりに子狐に求められるまま仕事道具の鉄砲を渡す。帰り道には、子どもの頃過ごした懐かしい家、そして家族の情景を見た。

素晴らしいものを手に入れたと喜びつつ家にたどり着いた。ところが、いつもの習慣で、うっかり手を洗ってしまい、指の魔法は消えてしまうのだった。

子狐を見つけて再び指を染めてもらおうとするが、もう二度とその子狐に会うことはなく・・・

それでもふと、今でも指に窓をつくって覗いてしまい、変なクセのあるやつだと笑われてしまうのだった。

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話が気になったので図書館で検索し、わざわざ書庫から 出してもらって借りて読みました。なのでだいたいこういう話で間違いないと思います。

読みながら、心に浮かびあがる情景がとても綺麗で・・・切ないんです。
あぁ、それでこそ日本の子供向け・・・  なんて思ってみたり。
たかが子どものお話ですが、大人になって読むと、子どもの頃ではわからなかったことを感じ取れるものですね。

鉄砲を手放してまで手に入れた窓をすぐになくしてしまう皮肉・・・とか
失ったものは二度と戻らないという事実・・・とか。

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